インタビュー サッポロビール株式会社

従来のマスマーケティングからの脱却を。
ファンとのコミュニケーションを重視した、
サッポロビール社のInstagram活用術

「乾杯をもっとおいしく。」をスローガンに掲げる日本の大手ビールメーカー「サッポロビール株式会社」。 従来のマスを中心としたマーケティング手法に課題を感じているという。


ファンとのインタラクティブなコミュニケーションをとりながらSNS運用に力をいれる、マーケティング本部 コミュニケーション開発部 メディア総括グループで課長代理を務める下村高司(しもむら たかし)さんにInstagram活用について話を伺いました。

飲料・ビール業界が依存しているパワーゲームからの脱却を目指す

まずは、下村様の現在の業務について教えてください。

メディア総括グループでオウンドメディア全般(ソーシャルメディア含む)の企画運用を行っています。
ソーシャルメディアに関する業務としては、コーポレートとして活用しているFacebook、Instagram、Twitter、YouTube、LINEなど、各SNSアカウントの運用担当になります。

マーケティング本部に所属されているとのことですが、どのようなマーケティング課題があるのでしょうか。

私たちビール業界のマーケティングは、まずテレビCMを打つところから始める、マスメディアを中心に認知させて購入に繋げるような企業の体力に頼った手法にまだまだ依存している風習があります。

そのようなパワーゲームになると当社は業界大手4社の中では劣るので、消費者の趣味趣向の多様化に合わせてマーケティング手法を変えていく必要があると感じています。

そのようなマーケティング課題からSNSを積極的に活用することになったのでしょうか。

そうですね、SNS活用の目的としては、既存メディア以外の場でのタッチポイントを作ること、またファンにとって身近な存在であるSNSを活用してファンとのコミュニケーションをとることを目指しています。
Instagramに関しても、他のペイドメディアと比べて費用がかかりにくいということもあり、公式アカウントの運用にも力を入れていこうという方針を取り入れました。
Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、LINEなど、各SNSアカウントを持っているので、それぞれのSNSの特性を活かした運用が必要だと思っています。

SNSは若年ユーザーが多い一方で、フォローできるのは20歳以上の方のみとSNS上の制約もありますよね。その中で運用に難しさを感じることはありますでしょうか。

これはそもそものことなので致し方ないことではありますが…。年齢関係なくアプローチできる商材と比べると、制限はかかってしまいます。
他の業種・業界がやっていて良いなと思った施策があっても、明らかに対象年齢が満たないと考えられるために挑戦できなかった企画もいくつかあります。
注意表記などに関するルールも他の商材に比べると多いかもしれないですね。

そのような規制がある中でも、Instagramではユニークなキャンペーンやハッシュタグを活用した企画を多く行っている印象です。

Instagram内での企画はまだまだ実験中ではありますが、ファンに楽しんでもらえるような投稿を考えて実施しています。

家飲み需要があったコロナウイルスによる外出自粛中のGW時期に、各ブランド担当を交えて、おうち時間を「もっとおいしく」するための 「#サッポロイエノミリレー」という企画を行いました。
全国のお取り寄せ商品をブランド担当者がリレー形式でご紹介する取り組みでしたが、かなり高いエンゲージメントを獲得しました。

また、カルビーさんとのコラボレーションで実施したプレゼントキャンペーンも人気を集めた企画の一つです。
サッポロビールとカルビーさんの両アカウントのフォロワーと、お気に入りのキャペーン画像のリポスト、 「#フォーナインと極じゃが」 のハッシュタグ付けを応募条件として実施したところ、リポスト投稿が750件を超える人気のキャンペーンとなりました。

ファンに楽しんでもらえるような投稿を意識しているとのことですが、どのようなKPIを設定し運用しているのでしょうか。

Instagram上での数値だけに留まらない話ですが、SNS上の主なKPIとしては、母数となる投稿のインプレッション数や好意度を示すエンゲージメントを見ています。
サッポロビールのアカウントの場合は、各ブランドにどれくらい貢献しているかを重視しています。
会社としての意味合いでの「サッポロビール」との接点というよりは、各ブランドの商品が日々のファンとのタッチポイントとなるので、データを可視化するときはブランド別で見るようにしています。
もちろん投稿の目的やレイヤーによって視点は変わってくるので、都度KPIは再設計しています。

お客様とのコミュニケーションをはかり、
ファンの可視化を目指したい

アカウントを見ると“中の人”としてファンとのコミュニケーションをはかりながら運用されていますが、どのような狙いがあるのでしょうか。

SNSはどんどん生活者にとって身近な存在になっていますよね。
今までは新商品の紹介やキャンペーンの告知など、企業目線の一方通行な発信しかしていませんでしたが、よりファンと親しみのあるコミュニケーションをとるため、あえて中の人のキャラクターを出した運用をはじめました。
ストーリーズや投稿へのコメント、DMなど、ファンからのメッセージへの全返信、などなど、日々インタラクティブなコミュニケーションをとるように意識しています。

ファンコミュニケーションを意識した運用を行っているとのことですが、今後Instagramをどのように活用していく計画でしょうか。

今後も引き続きファンとのコミュニケーションをより深められるような施策を行っていきたいです。
当社はBtoBtoCのビジネスモデルなので顧客との接点作りや、ファンデータの可視化に難しさを感じています。
ファーストパーティーデータを軸にSNS上のデータとの連携も図っていくことで、より意義のあるマーケティング施策ができないかと考えています。

また、Instagramではショップ機能などの新機能がどんどん拡充していますよね。
運用する中で投稿のエンゲージメントの高さも実感しているので、ショップ機能を活用したD2C事業への活用にもチャレンジしていきたいなとも思っています。