インタビュー 株式会社TSI ECストラテジー

アパレル業界のInstagram運用は
何を指標にするべき?
モール型ECサイト「MORUGI」に学ぶ
SNSマーケ戦略

近年、スマートフォンの普及に伴い、様々な業界において生活者とのコミュニケーションのあり方が変わってきています。


実店舗を媒介するコミュニケーションが中心だったアパレル業界ですが、アプリやSNSと連携した販売展開が増えてきていたり、ここ数ヶ月のコロナ禍により今後ますますアパレル業界におけるオムニチャネル化が重要となるのではないでしょうか。


株式会社TSI EC ストラテジーが展開しているモール型ECサイト「 MORUGI(モルジ) 」では、Instagramを活用した数々のマーケティング施策に取り組んでいます。
韓国ファッションの”コミュニティハブ”を目指す「MORUGI」担当メンバーにSNS活用について話を伺いました。

  • 森本 悠太(もりもと ゆうた)
    株式会社TSI ECストラテジー デジタル事業開発部 部長

    株式会社TSI EC ストラテジーのデジタル事業開発部の責任者として「MORUGI」の運営を統括。

  • 小村 真奈美(こむら まなみ)
    株式会社TSI ECストラテジー ブランドマネジメント部 撮影課 課長
    兼 デジタル事業開発部

    デジタル事業開発部にて「MORUGI」のSNSを統括。 グループ全体のEC撮影クリエイティブも担当。

  • 加藤 祐子(かとう ゆうこ)
    株式会社TSI ECストラテジー 管理部 管理課 課長
    兼 デジタル事業開発部

    デジタル事業開発部にて「MORUGI」のSNS運用・販促を担当。

ブランドのファン化や新しい集客経路の獲得を目指す
マーケティング施策

2019年11月に韓国ブランドショッピングモール「MORUGI」をスタート。
立ち上げの経緯を教えていただけますでしょうか。

森本:

デジタル事業開発部ではTSIホールディングスのブランドではない他社ブランドやサービスを利用して、新しい収益作りを行っています。
韓国ブランドが日本で注目されつつあったタイミングで社内で声が上がったことから、韓国ブランドの国内販売に着目し、MORUGIのオープンに至りました。

オープンに伴い、韓国ブランドショッピングモール「MORUGI」としてどのようなマーケティング施策を検討していたのでしょうか。

森本:

公式Instagramアカウント「@morugi_official」の活用はもちろん、 商品を探す以外にもユーザーが毎日サイトに来て楽しめるような仕組み作りとして韓国情報を発信するメディア 「MORUGI MAGAZINE」の運用を行ってきました。

その他の施策としてポップアップストアなどでリアル店舗のオープンを検討していましたが、国際情勢の影響やコロナ禍によりプロモーションも思うようにできず、本格稼働できていない状況が続いておりました。

そのような状況下だったのですね…。
その中でSNSに注力してきた背景を教えてください。

森本:

デジタルマーケティングの施策はたくさんあると思うのですが、Web広告に留まらず、ブランドのファン化や、新しい集客経路を作ることを目指しています。

TSIのブランド全体で見ても、今現在若いユーザーをターゲットとしているブランドがなかったという点と、「MORUGI」のターゲットである20代前後の市場とSNSがマッチしているというところで注力しています。

Instagramがサイトの流入経路として集客を担うと共に、
お客様の声をリアルに拾う役割に

では、「MORUGI」の中でInstagramはどのような役割を担っていますか?

加藤:

自然流入に継ぐサイトの流入経路として、集客の役割を担っています。
Instagramは購買や会員獲得へのコンバージョンが高いので、実績に繋がるツールとして活用しています。
その他にも、ストーリーズ機能を活用することでフォロワーとのコミュニケーションをとることができるので、お客様の声をリアルに拾う役割を果たしているのかなと思います。

現在オープンから8ヶ月の運用を行っていると思いますが、Instagramの施策で特に効果を実感した施策についてお伺いしたいです。

加藤:

外出自粛時期におうち時間をポジティブに過ごして欲しいという思いを込めて、ストーリーズを活用したスタッフによるリレー形式の企画を実施しました。
第一弾では「私の好きな韓国」、第二弾では「エア韓国旅行」という企画を行ったところ、通常のリーチ数・エンゲージメント数の倍の数値を獲得しました。

加藤:

また3月頃にTOKYO HEADLINEさんとコラボでE-girlsさんを起用した企画を行ったので、そのクリエイティブを活用し 「E-girls須田アンナ 武部柚那が着こなす韓国ファッション VOL.1」というInstagram投稿を行いました。
E-girlsファンの方がアカウントへ訪れてくれたことから、ソーシャル経由の売り上げが全体の33%を占める結果となりました。

順調に運用を行っている印象ですが、課題に感じていることはあるのでしょうか。

加藤:

モールという特性上世界観が見せづらいという点には課題を感じています。
ブランドの幅が広いことはMORUGIの魅力ではありますが、SNSの中で統一感を出すとなるとテイストが偏ってしまうので、全員の評価を得て運用することに難しさを感じています。

フィード投稿では、反応が良いストリート系のアイテムの投稿を行い、ストーリーズではフェミニン系のブランドをメインで紹介したりと、見せ方の工夫をしながら改善を目指しています。

チームで動くからこそ共通認識が重要。
SNSの役割を具体化しKPIへ落とし込んだ。

Instagramの中でも様々な施策を行っている印象ですが、企画の策定や実施はチームでどのように動いているのでしょうか。

加藤:

弊社では、“テストケース作り”が重要視されているので、日々様々な施策を積極的に実施しています。
企画の策定は、MD担当、PR担当、SNS担当それぞれのメンバーで連携し、サイトの年間スケジュールとMD計画に併せて検討しています。

小村:

各セクションごとに動くと、サイトのイメージとInstagramアカウントのイメージにギャップが出てしまうので、ブランド全体のイメージに共通認識を持つよう横軸で動いています。

ブランディングの担保が重要なんですね。
チームで動くことが多いと思うのですが、どのようなKPI を設定し運用しているのでしょうか?

加藤:

アカウントのフォロワー数とエンゲージメント率をKPIにおいています。
具体的には、来年の2月末までにアパレルの業界平均と言われている2.5万フォロワーを獲得。また、平均エンゲージメント率1.7%を目標に置いていて、質の高いフォロワーの獲得を目指しています。

小村:

KPIとして設定している数値は元々マーケティング部が調査した数値で、アパレル業界では20万フォロワーを超えるアカウントはかなりたくさん存在していますが、 いきなりそこを目指すのは難しいので、段階を踏んで達成できるように目標数値を組んでいます。

KPI設計で悩まれている企業様が多いですが、スムーズに決まったのでしょうか?

小村:

実は…KPI設計にはかなり時間をかけたんです。
SNSがそもそもマーケティング施策の一部として活用するべきツールになり始めたのがここ数年で、さらにInstagramが主流になったのは最近なので、他社の事例が見つからなかったり、そもそもどうやって決めていくべきなのかがわからない状況でした。

森本:

Eコマースの広告だと、これくらいのセッションがあるとこれくらいの売り上げになるというのがある程度わかりますが、ソーシャルだとリーチがこれくらいあれば売り上げは〇〇くらいという相関関係が現段階では出せないんですよね。

小村:

どうしても売り上げを考えなきゃいけないけど「そもそもSNSってどういう存在だっけ?」と考えた時に、UGCやフォロワー数に置いた方が良いのではないかというところから現在の目標設定にたどり着きました。

もちろん最終的には売り上げをゴールにするけど、自分たちのInstagramアカウントが業界でどういうポジションにいて、競合はどういうところにいるのかを分析することが大事なのではないかと思ったんです。

“SNSの役割”というところから熟考されたんですね。
具体的なKPIを設計したうえで、どのような運用・分析を行っているのでしょうか。

小村:

どんな投稿がコンバージョンに繋がったか、エンゲージメント数が高かったか、フォロワーにマッチしているかをインサイトデータを見ながら分析しています。
月単位だとどうしても遅れてしまうので、週で振り返りチューニングを合わせています。
正解がまだない状況だからこそ、色々試して何が良いのかを分析しながら運用することが重要だと思っています。

MORUGIが韓国ファッションのコミュニティハブに。
今後のInstagram活用の計画は?

様々な施策を改善しながら実施している「MORUGI」ですが、今後のマーケティング活動においてInstagramをどのように活用していく計画ですか?

森本:

Instagramだけではないのですが、MORUGIが韓国ファッションのコミュニティハブになっていけばいいなと思っています。
その上で、エンゲージメントの高いファンの獲得を目指したり、「#MORUGI」を付けた投稿がどれくらいされるのかを追いながらUGCを意識した取り組みにも注力していこうと思っています。
また、コロナ禍による市場の移り変わりやユーザーの考え方・意識が変化してきているので、状況に応じて適したマーケティング施策を実施していきたいです。